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朝井リョウ氏による小説「正欲」を遅ればせながらオーディオブックで聴いた。
稲垣吾郎さん、新垣結衣さんの出演で映画化もされた作品。
その感想を書いていきたい。
「正欲」の受賞、ノミネート一覧
- 第34回 柴田錬三郎賞受賞
- 第38回 織田作之助賞最終候補
- 2022年本屋大賞ノミネート
- ダ・ヴィンチ BOOK OF THE YEAR 2023 第1位
- ダ・ヴィンチ BOOK OF THE YEAR 2021 第2位
- ダ・ヴィンチ プラチナ本 OF THE YEAR 2021 選出
- 第5回 未来屋小説大賞入賞
- 第3回 読者による文学賞受賞
- キノベス!2022 第2位
- #私のベスト本2021 最多登録
- ブクログ年間登録 2021 第1位
聴き終えて
冒頭、不思議な内容の手記が読まれて、その後に3人の男が小児性愛者で児童ポルノ所持の容疑で逮捕されるニュースが読まれる。
不穏な始まりの後、舞台は時をさかのぼり、物語は各登場人物の視点で、冒頭の事件にたどり着くまでを描いていく。
関係なさそうな点と点が徐々に接近していき、物語の全貌が見えた時、冒頭の事件に隠された真実と作者のメッセージが伝わってくる。
多様性という言葉が多く聞かれるようになり、それを認めようという動きは素晴らしいのだが、それは大衆が嫌悪感なく受け入れられる範囲の話であり、その枠を外れた少数派の感覚、生きづらさに自分の想像が及んでいないことに気づかされる。
例えば旧ジャニーズ事務所のジャニー喜多川の問題。喜多川は悪魔のような存在であり、罰せられるべき社会の敵とされている。
確かに無力で無知な少年たちを性的に搾取したことは犯罪であり、罰せられるべきことだろうが・・・
この本を読んだ後では、喜多川の性的欲求もまた、彼自身が望んでそうなったわけではない事に思いをはせざるを得なくなる。
もちろん多様性の名の下に、全ての性的欲望の開放を許すわけにはいかないだろう。
しかし、自分たちが「たまたま」いわゆる「普通」の・・・多数派の性的趣向に生まれることができただけに過ぎないということを自覚しなければならないと思う。
物語の終盤、ある登場人物たちの性愛をこえた絆のようなものに涙してしまった。
audiobook.jpで聴く「正欲」
各登場人物ごとにナレーターが配置され、それぞれのキャラクターへの感情移入がしやすい。
また巧みな音響効果、演出効果で作品世界にどっぷり浸れるさすがのクオリティー。
終盤の声優陣の朗読の掛け合い、その聞かせ方に思わず感情が揺さぶられた。
「正欲」未読の方は勿論、一度読んだ方もaudiobook.jp版「正欲」を聞いてもらいたい。
【キャスト】
寺井啓喜 : 菊地達弘
桐生夏月 : 小市眞琴
神戸八重子 : 洲崎綾
佐々木佳道 : 浦和希
諸橋大也 : 伊東健人
寺井由美 : 北﨑ひとみ
寺井泰希 : 拝師みほ
右近一将 : 青樹鮎希
越川秀己 : 小林直人
久留米よし香: 三浦円
桑原紗矢 : 堀川かえで
桑原真輝 : 進藤亜由美
西山修 : 佐田直啓
田吉幸嗣 : 佐東充
【スタッフ】
監修 :伊藤誠敏
演出 :三浦円
制作協力:R-production/トゥーバース
audiobook.jp公式HPより抜粋
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