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川上未映子さんの「黄色い家」をAmazonオーディブルで聴いた。
長編だがテンポよく話がすすみ、通勤時間中ずっと聞き入ってしまった。
この記事では、「黄色い家」について紹介したい。
受賞
第75回読売文学賞(小説賞)受賞
王様のブランチ BOOK大賞2023 受賞
2024年 本屋大賞 第6位
キノベス! 2024年 第2位
あらすじ
2020年、40歳の伊藤花は惣菜屋に勤めていた。
コロナ禍の世の中、あるニュース記事を見つける。
かつて一緒に暮らしたことがある「黄美子」という女性の事件記事だ。
60歳になった「黄美子」は、若い女性の監禁、傷害の罪に問われていた。
花は忘れていた20年前の記憶を思い出す。
「黄美子」と少女二人と暮らした日々。
舞台は90年代後半の東京へ。
自堕落な母親と二人暮らしの10代の花。
貧困な生活から脱するため必死で働くが、報われない日々。
そして「黄美子」との出会い。
彼女たちは、花と同世代の少女二人とともに疑似家族のように暮らし始める。
しかし世間にうまく適応できない彼女たちは、次第に犯罪に手を染めていく。
そしてある女性の死をきっかけに、すべては崩壊にむかっていくのだが・・・
読み(聴き)終えて
カバーイラストからは予想できない暗く、悲しい内容。
しかしながら、作者の手腕からか・・・暗くなりすぎず、時に笑える描写もあり、心地よく読む(聴く)ことができた。
自堕落な母親の元で暮らす描写に「親ガチャ」という言葉が頭をよぎる。
そして黄美子、在日コリアンのヨンスとの出会い。同居することになる蘭、桃子との友情と軋轢。
皆、およそ健全な世界では生きてこれなかった人達。
生きるためにカード詐欺にてをだし、境界を越えていってしまうのだが・・・生まれ育った環境や境遇に人生が左右されることを痛感する。
常に一生懸命な主人公「花」が、そのひたむきさと優しさゆえに・・・他者を守るべく力(お金)を欲してダークサイドに落ちてゆく感じはスターウォーズEP3のアナキン・スカイウォーカーにも通ずる悲しみを感じた。
後半どうしようもなく救いのない展開になっていくが・・・それはラストの「やさしさ」に花も読者も
救われるための布石だったと思う。
決してハッピーエンドとは言えないが、そこには救いがあった。
聴き終えたあとしばらく余韻に浸ったのち、僕は素晴らしい物語に出会ったと思った。
川上未映子さんに感謝。
作品あれこれ
主人公の花と僕は同年代である。
作者の川上未映子さんがほぼ同じ世代なので、自身の10代のころ・・・1990年代の空気感と当時の印象的なエピソードが織り込まれて、同じ世代としてはニヤッとしてしまう。
川上未映子さんは弟を大学に出すべくホステスとして働いていたこともあるようで、主人公の花の苦労や夜の世界の危険さなど、実体験からくるリアルさを感じた。
オーディブルで聴いた「黄色い家」
僕はAmazonオーディブルの愛用者で、特に小説はAmazonオーディブル、オーディオブックjpで通勤時間に聞いている。
今回オーディブルの「黄色い家」はナレーターが大内 櫻子さん。
声の使い分けは、流石プロのナレーターさんで各登場人物しっかり演じ分けられており、違和感なし。
特に泣きの演技が素晴らしく、思わず感情移入してしまう。
あと「いい声の持ち主」とされるヨンスさんの声を演ずるとき、ホントにいい声に演じていて良かった。
特にラストの感情の高鳴りはは大内さんの演技が大きく貢献していると思った。
おすすめの本「黄色い家」
読んだ後、形容しがたい悲しみと温かさが胸に去来する「黄色い家」。
「最初と最後で物語の印象が変わるようにしたかった」と著者、川上未映子さんが語るように、聞き始めた時と最後では見ていた景色の色がガラリと変わる体験をした。
そして人の心の弱さ、醜さ、やさしさを味わえる小説だった。
是非、一読してみてはいかがだろうか?
本を読む時間がないひとはAmazonオーディブルで聴く読書をお勧めする
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